特別インタビュー
『整形シンデレラ』×整形体験ブログが話題のyuzukaさん
単行本未収録、整形の”リアル”がわかるインタビューの続編を大公開！【連載第3回】

yuzuka（ゆずか）
精神科、美容整形外科での看護師経験や、風俗嬢の経験をもとに、実体験や知識を綴っているTwitterやnoteの記事が話題。身体や心、恋愛の悩みに真剣に向き合う言葉は多くの共感を呼び、書籍化もされている。2018年に自身のメディア「ぴくあぶ」を立ち上げる。>>Twitter　>>ぴくあぶ

＃３････････････････････････････････････････

『 “ダウンタイム鬱”になる、退院後の孤独』

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―　美容整形手術後、息苦しい、眠れないなど体力的な疲労感があったとおっしゃっていましたが、ほかに辛かったことはありますか…？

韓国は、基本的に手術後はクリニック内にある療養施設で先生に診てもらえるんですが、日本では通院が基本なので、不安を抱えている間は精神的に辛かったですね。働いていた美容整形外科では、術後、麻酔が切れると激しい痛みが出てしまうので、なるべく夜中に痛みが出ないように、タイミングをみて痛み止めを多めに投与するという対応をしていました。24時間対応できるように患者様用のピッチを携帯しているのですが、やっぱり、夜中に「痛いんですけど、どうしたらいいですか」という電話がかかってくることが多かったです。でも、「ちょっと寝てみてください」とか、「正常な反応なので、お薬を飲んでみてください」とか、「血が止まらない場合や、意識が朦朧としたら電話してください」というお声がけをすることしかできないんです。そういう、患者さんを不安にさせてしまう環境も、“ダウンタイム鬱”になる要因のひとつだと思っています。

―　初めての手術後、いろいろな症状が出たらすごく不安ですし、なおかつ孤独な環境であれば、確かに鬱に繋がってしまうかもしれないですね…。

何か症状が出ても、病院に入院した時のように、誰かがすぐに来て対応してくれたり、看護師さんが点滴をしてくれたりすれば、安心できるかもしれないですよね。でも、家にひとりでいると、「これは本当に普通の痛みなのかな？」とか、心配になるのは当然だと思います。でも、看護師の立場からすると「そんなに心配しなくても大丈夫なのに」って内心、思う気持ちもありました。自分自身が、手術を受ける側になってみてやっと、患者さん達の不安な気持ちを切実に理解しました。

―　なるほど…。

整形外科で勤務していた時、埋没手術をするのに全身麻酔を希望する方がいらっしゃって。当時は「そんな大げさな」と思っていたのですが、実際手術を受けてみたら、全ての手術の中で埋没手術が一番怖くて、嫌でした。

―　よく聞く二重形成の手術名ですが、何がそんなに怖かったのでしょうか…？

埋没手術は人によって痛みの出方が違って、私の場合はすごく痛かったです。埋没手術は、瞼をひっくり返して、瞼の内側を縫うという手術方法です。痛みの大小の分かれ道は、瞼の中に「鍵盤」と呼ばれる、軟骨のような少し硬い組織にある神経の多さです。神経が少ない場合は痛みが少ないんです。魚釣りの時に使う針のようなものを鍵盤に通す時に痛みが出るのですが、私は右目だけすごく痛くて、先生に「先生、これ、麻酔が効いてないですよね!?」と聞いてしまって（笑）。そしたら、「いや、痛いと思うと痛くなるから。大丈夫、大丈夫」と先生に返されました。 

―　まさかの、精神論ですか!?

麻酔も追加してもらったのですが、結局、手術中ずっと痛かったです…。でも、目に力を入れてしまうと瞼をひっくり返すことができないので、不快感があっても怖くても力を抜かないといけなくて。埋没手術は、先生と二人三脚でやらないといけないんです。「埋没手術をした方はみんな、これを耐えていたのか！」と、衝撃を受けました。美容整形外科で勤務していた頃、患者さんに寄り添っていたつもりでしたが、実際に自分が手術をしてみたら、患者さんへの気遣いが全然足りていなかったと反省しました。

【連載第4回へ続く】



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